シャ・リオンの謎

 最近知ったお気に入りの曲に『ヴィーナス&ブレイブス~魔女と女神と滅びの予言~』というゲームに使われている「Waltz for Ariah」があります。作曲者はエースコンバットなどの作曲も手掛けている小林啓樹さんですが、この曲に関しては、「シャ・リオン」という曲とメロディーが似ているという問題があったようです。JASRACの作品データベース検索において”Waltz for Ariah”で検索にかけると、シャ・リオンが出てきますが、どうやら現在はシャ・リオンを編曲したものだということで解決しているとのことらしいです。シャ・リオンという曲は大島ミチルさん作曲でエリさんが歌を歌っています。このエリさんというのは河井英里さんの旧芸名だそうで、ARIAのアテナの歌役をされていた方だと気づき、自分の知っている作品とつながって驚きました。

 少し横道に逸れましたが、今回の本題はシャ・リオンの歌詞についての謎です。シャ・リオンの歌詞について大島ミチルさんは自身のブログでとある英語の詩を逆からカタカナ読みにして適当なフレーズでくくったと語っています。またこの曲が主題歌として使われたフジテレビ放送の番組「ワーズワースの冒険」ではこの曲の歌詞についてワーズワースの詩を逆さにしたものだということが明かされています。ここらへんの情報が明かされたことで、歌詞の元ネタになった詩は誰かが解き明かしていそうなものですが、私がネットで検索する限りでは、元ネタはこれであると具体的に突き止めている人はいないように思われます。元ネタはこれではないかと推測されている方もいらっしゃいますが、挙げられている詩は逆から読んだとしてもシャ・リオンの歌詞にはならないように感じました。そこで私も今更ながら元ネタが何なのかということを知りたくなり、少し調べてみることにしました。まずなにかヒントになるものはないかと考えていた時に、先ほど挙げた番組の「ワーズワースの冒険」では曲を逆再生して聞いてみればなにかわかるかもしれませんよと語られていました。ニコニコ動画にシャ・リオンを逆再生したものがあり聞いてみましたが、残念ながら特にこれといったフレーズが浮かび上がるものではありませんでした。ただ、ニコニコ動画のコメントにはnow I’ll be relaxが逆から読めばシャ・リオンになるのではないかというコメントがあり、確かにそう読めなくもないという気がします。では実際にこの言葉はワーズワースの詩の中に登場するのでしょうか?コメントに対してはどの作品なのかを問うコメントもありましたが、これに対しての返信はありません。自分でワーズワースの詩について調べてみるかと思って探してみたのですが、ワーズワースの詩は作品が多数あり、例の言葉が作品の中で使われているのかをひとつひとつ調べるのはほとんど不可能だろうと思っていた時に、『A concordance to the poems of William Wordsworth』という本を見つけました。これはワーズワースの詩に出てくる語句を辞書順に配列にして実際の文脈とともに一覧表にしたものです。そこでまず初めにrelaxという単語を引いてみたのですが、now I’ll be relax という文はないようです。念のためI’llでも調べてみましたが結果は同じでした。というわけで、now I’ll be relaxは私が調べたかぎりではなさそうだなという結論に至りました。ただ、I’llの項目を調べていた時にillという単語も載っていることに気づいたのですが、その中に少し気になるものがありました。それが『The Brothers』(1800)という作品に出てくる「No ill was feared.」という文です。

(https://keytopoetry.com/william-wordsworth/poems/the-brothers-9/ )

No ill was を逆にするとsawllionとなります。saなのでシャとは読めないようにも思えますが、ワーズワースの冒険で紹介されていた謎解きのヒントを示す例文では「korekaramoyorosikune(これからもよろしくね)」を逆から読んで「enukis oroyomar akerok」エヌキシューオロヨマールアケロクゥと発音していました。ここでのsの発音は、日本語で言うところのしゃ、しゅ、しょの発音になっています。これを当てはめるとsawllion はシャ・リオンと読めなくもないという気がします。もちろん「w」はどうしたというような指摘もあるでしょうし、the brothers の詩も全部を調べてはいませんが、周辺の文を見てもほかの歌詞になりそうなものを見つけられていないので間違いという可能性も高いです。そもそも一つの作品から歌詞をすべて作ったとも書かれていない訳ですし、now や I'll などの単語自体は使われている以上 now I'll be relaxがシャリオンであることを完全に否定できません(ただそうなると組み合わせはほぼ無限となってしまうので、元ネタはワーズワースの詩であるということしか言えなくなりますが)。また少し引っかかるのが読み方の法則です。例えば歌詞の中にはヌステースィクォと聞こえる部分がありますが、ヌステースだけならばnustes、つまりsunsetという言葉から来ているように思えます。しかし逆から読むという法則を徹底させた場合nustesは元の文ではset sunという順番にならないとおかしくなってしまいます。一方で英文においてはset sunという語順は普通はないと思われます。ワーズワースの詩の中にもThe sun has long been setという作品や「sunset」、「sun」、「set」という単語 単体でなら使用例はあります。以上の推測はヌステースがsunsetであるという前提の下にしているものなので、前提が違うということもありますが、逆から読むという法則も一文で行われるものでないとすると、これまた元の詩が何であるかを特定するのは困難になるでしょう。

 色々探すにしても、何とか元ネタとなる作品を絞ることはできないものでしょうか。そこで思ったのが、大島ミチルさんはワーズワースの詩の英文をどうやって参照していたのかという点です。wikiによるとシャ・リオンのシングル発売が1993年ということなので、なんらかの本を参照していたと考えられるのですが、例えば岩波文庫の『対訳 ワーズワス詩集』は出版が1998年ですから、これは参照していたものではないと言えそうです。ワーズワースwikiで日本語訳の本について見ると、1993年以前に出版されたものが結構あります。岩波文庫のように原文が載っているかどうかは定かではありませんが、これらの本を参照したか、洋書を参照したということになるでしょうか。ここまで書いておいてなんですが、ちょっと数が多すぎて作品を絞る参考にはならなさそうです。

 結局のところ、今回調べた限りでは歌詞の元ネタは分からないというのが結論です。そりゃあ何年もわからないことをちょろっと調べた位でわかる訳がないよねっていうことですが、微妙にヒントが与えられてさあ元ネタは何でしょうと挑戦を突きつけられているのに分からないというのが、なんとももどかしいところです。また新たな事が分かれば記事を書きたいと思います。

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  • 芯央へ
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